一般社団法人 西宮市歯科医師会

歯周病について 「歯周病はどんな病気?」
川勝 賢一
Q:歯の寿命はどのくらいですか?

A:長生きの時代だからこそ 「歯の健康」 に注目しなければなりません。日本人の平均寿命は平成13年度で、 男性78.0歳、 女性84.9歳 となり、ずいぶん長生きになりました。だからこそ、年をとってもより明るくいきいきと暮らせるように、心身の健康維持に努め,生活の質(QOL)を高める必要があります。日本人の歯の平均寿命は短く、50〜60年程度です。 奥歯で40〜50年程度に過ぎません。多くの人の歯は60歳を超えるころから衰えてしまいます。 70歳以上で残存歯が20本以上の人は3割程度、80歳以上で残存歯が20本以上の人は1割以下といわれています。


Q:私たちの口の役割を教えて下さい
A:私たちの口には、さまざまな役割があります。呼吸をし、会話の際には音声を発します。しかし、中でも食べ物を体内に取り入れる機能が一番です。呼吸や発声という機能が簡単に損なわれるという可能性は低いのですが、もっとも大切な食べ物の入り口という機能は、意外と簡単に歯を失うことによって損なわれてしまうのです。 近年、若年層にも歯周病の発症例が頻繁に見られるようになりました。健康な歯を保つことは、身体全体の健康を保つことに繋がります。小,中学生についても、歯周病のケアはもはや不可欠であるといわれています。 
 私たちが生きるためには、食べて栄養をとることが欠かせません。食べ物を食べるとき、健康な歯でよくかむと飲み込みやすくなるうえ、唾液とよく混ぜ合わされて、体内で消化吸収されやすくなります。  私たちの生命は、健康な歯によって支えられているといえるのです。 自分の歯が健康であれば、しっかりかめるだけでなく、発音もなめらかで、表情も明るくなります。また、よくかむことによって脳が刺激され、痴呆予防に効果があることも分かっています。 よくかめる歯があれば、食事はいっそおいしく、楽しくなります。食卓に高価な食品を並べなくても、楽しい食事は大いに生活の質を高めてくれるはずです。どれだけ自分の歯を残せるかは、歯を大切にしようとする本人の心構えしだいといえます。


Q:歯周病はどんな病気?

A:歯周病はほとんどの場合、それ自体が命に関わることは少ないと思われていてかなり悪くなるまで放置されがちです。そのため手遅れとなって歯を失うこともあります。しかし、早めに歯科を受診すれば、歯を失わずにすむことのほうが多いのです。 歯周病は、歯肉炎と歯周炎の二つに大別することができます。歯をみがいたとき、たまに少量血がにじむ程度でも、ごく初期の歯周病すなわち歯肉炎が疑われます。初期の歯肉炎を放置し、誤った歯みがきなどをしていると、より重い歯周炎に進行してしまいます。  
 歯周病は、歯の周辺組織(歯根膜、歯肉、歯槽骨)の病気をまとめた総称で、歯周疾患ともいわれています。痛みなど自覚症状があまりない状態で進行し、慢性的に経過をたどっていくのが特徴です。  歯科疾患の代表で歯と歯肉の間にたまった歯垢(プラーク)中の細菌が,毒素を放って歯肉に炎症を起したり、歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてしまったりする病気です。そのまま、放置しておくと、歯がぐらぐら動くようになって、自然に抜けてしまうこともあります。 厚生労働省の調査では、中高年以上の人のおよそ8割以上が歯周病にかかっていることがわかりました。若年層でも歯周病が増えていることがわかり、5〜14歳でさえも4割に軽い歯周病がみられ、歯周病はまさに日本人の国民病ともいえるのです。歯周病にかかっている人のうち若年層においては、歯肉炎と軽度歯周炎に分類される人が多く、年齢が上がるにつれて、中等度〜重度の歯周炎に分類される人が増えています。さらに高齢になると、歯周病の人の割合より歯のない人の割合が多くなってしまいます。
 歯周病のなかでも初期の歯肉炎の段階なら、正しくていねいな歯みがきを心がけていれば、比較的短期間で治せます。しかし、歯肉炎をそのまま放置したり、歯みがきの方法が適切でなかったりすると、歯と歯肉の間に歯周ポケットという溝ができ始め、炎症が深いところまで達して歯周炎へと進行します。こうなると治すのが難しくなり、治療期間も長引きます。歯周病も早期発見・早期治療が大事なのです。
 歯周ポケットは、健康状態では深さが2ミリ以内で、歯ブラシやデンタルフロスでプラークや食べカスを取り除くことが出来ます。しかし、深さ2ミリ以上になると、清掃がしにくくなり、プラークがだんだん溜まり、歯の周辺組織を侵しはじめます。やがて、歯根膜は歯根からはがされ、歯周ポケットはどんどん深くなっていきます。こうしてできた歯周ポケットから歯周病の症状があらわれてきます。


Q:歯周病の自己診断はできますか?

A:お口のセルフチェックをしてみましょう
(1)歯肉の色…妙に赤っぽかったり、紫色がかっている
(2)歯肉の形…厚みをもって膨らんだ状態
(3)歯肉の硬さ…触ったときにプヨプヨしていて、締まっていない
(4)歯肉から出血…ちょっとしたことで出血する
(5)口の中…すっきりせず、ネバネバしている
(6)歯と歯の隙間…以前に比べて隙間が開いてきたような気がする
(7)口臭…自分で自分の口のにおいが気になる

 歯の健康管理に積極的に取り組んでいくには、具体的な数字を目標とするのも有効です。たとえば、平成元年ごろから全国に広がった「8020運動」は、「80歳になっても20本以上自分の歯を残そう」というもの。長寿の時代だからこそ歯の寿命も伸ばし、よりよく生きようという呼びかけです。20本以上残っていれば、なんとか自分の歯でかむことができるといわれています。若いころから歯を大切にする取り組みを意識し、年をとってもできるだけ多く自分の歯を残すという意欲が大事です。