一般社団法人 西宮市歯科医師会

歯周病について 「歯周病の予防」
廣川 正明
 歯周病は生活習慣病ですので歯周病の予防にはご自身の生活習慣、歯ブラシの磨き癖、偏った食生活、歯ぎしり、喫煙、ストレスなど不適切な生活習慣改善に対する努力が必要です。歯周病の予防治療には患者さんご自身の理解協力が必要であることをお伝えしたいと思います。
 歯周病は慢性疾患の経過をとりますので治療期間が非常に長くなります。そういったことからも一次予防、二次予防、三次予防というように考えていただきたいと思います。
 一次予防は歯周病のない方が発病を防ぐということで口腔清掃や生活習慣に注意して歯周病にかからないようにすることです。
 二次予防は歯周病になったが重度に進行するのを防ぐ意味の予防です。歯周治療により重症化を防ぐ意味あいになります。
 三次予防は、歯周病治療によって症状は改善しているが歯周炎により歯槽骨の破壊が生じ、これは治療によっても正常には戻りませんので再発予防のためのプラークコントロールと生活習慣の改善が重要な課題となります。
 いわゆる一次、二次、三次以上の予防に対する考え方があると思いますので、お聞きの皆さんはどの段階の予防かということを判断していただきたいと思います。

Q:それでは具体的な予防について教えてください

A:歯周病は歯と歯茎の境にプラーク(歯垢)がつきましてそこに病的な隙間(歯周ポケット)ができ、そこから細菌による炎症が生じ、歯茎からの出血、腫れ、歯槽骨が破壊され歯が抜けていくといった病態になります。
 予防はまず歯周病の原因除去になります。予防の第一は正しい歯磨きによるプラークコントロール、歯垢がつかないようにすることが重要になります。


Q:正しい歯磨きの方法を教えていただきますか


A:歯石がついてしまうと歯ブラシでは取れませんので、歯科医院で除去していただきたいと思います。
 まず一時予防の方(歯周病になっていない)からお話します。歯周病の歯磨きは"毛先磨き"といったイメージを持っていただきたいと思います。バス法とかスクラビング法という方法があります。
 バス法:まず歯ブラシをペンを握るように持っていただきまして、毛先を歯と歯茎の境に約45度の角度で当てます。毛先の弾力を生かして1から3mm程度軽い力で小刻みに20から30回動かします。歯と歯の間も毛先を使って歯ブラシを縦に使ったり横に使ったりします。
 スクラッビング法:歯ブラシの毛先を、歯の外側では歯の面に対して垂直に、歯の内側ではバス法と同じように約45度の角度で当てます。毛先は前後に揺するように動かし、大きく動かさないことが重要です。
  歯間ブラシ:歯と歯の間には歯ブラシの毛先が届かないため、歯間の歯垢を取り除くために歯間ブラシという専用ブラシを使います。歯間ブラシは歯垢を取り除くとともには肉をマッサージすることで血行を良くし、歯肉の抵抗力を高め歯周病を予防するのです。使用法は歯と歯の間にブラシの先端から入れ、ゆっくり出し入れして清掃します。ブラシを曲げたほうが入れやすい場合もあります。歯間の広さに応じた適当なサイズの歯間ブラシを選ばねばいけません。無理に入れるとは肉を痛めます。
 デンタルフロス(糸ようじ):歯並びが悪いなどで歯間ブラシが入らない狭い部分に使います。ウルトラフロスといって糸の部分が太めになったものがありますのでそれで歯肉をマッサージをします。これも強く当てすぎないことです。


Q:日々の生活の中ではどんなことに注意が必要なのですか

A:生活習慣に占めるウェートが大きいわけですから、たとえどんなに忙しくても一日に2回ほどは歯みがきをしていただきたいと思いますし、食習慣の改善も重要です。
 たとえばやわらかく甘いものばかり食べていますと、プラークができやすくなります。バランスよく栄養を取りましょう。偏食は抵抗力を弱めます。ビタミンCは抵抗力を高めます。
 また喫煙習慣がありますと、歯周病にかかりやすく、重症化しやすくなります。歯肉の血流も悪くなり免疫機能の抑制、傷の治りも悪くなります。
 次に口の中の生活習慣ですが、噛合わせが悪いとか歯ぎしりをする場合では、その歯に過度の負担がかかりますので歯周組織を痛めますので、歯を少し削り、噛み合わせの調整をしたり、ナイトガードというマウスピースのような装置を使い負担を減らすようにします。
 また虫歯があったり歯が抜けたままの状態であることもよくありません。食事の時に、口の中に悪いところがありますと、そこをかばって使いますので、片方での噛み癖が出ます。歯がないと、残りの歯に負担がかかります。それが歯周組織を痛めます。きっちりと治療を受けてください。


Q:最後にもう一度、歯周病にかからないためにはどんなことに注意をすればいいのかアドバイスをお願いいたします。

A:歯周病は、かかっているのかそうでないのかがわかりませんので検診を受けてもらわなければなりません。10代の若者でも60%近くが歯周病のかかりはじめである歯肉炎になっています。また35歳以上では7割の方が歯周疾患、さらにその1割の方が重症といわれております。
 そして歯周病は、サイレントディジーズ「沈黙の病」とも言われるように、初期のころには、あまり大きな症状がないのが特徴なので、是非とも定期検診を受ける習慣をつけてください。
 歯磨きを怠ると、3ヶ月ぐらいで、歯石が付いたり、もとの細菌相に戻りますので、3ヶ月から6ヶ月に1回は歯科医院で検診してください。
 プラークコントロール(歯垢抑制)には、患者さんと歯科医との役割分担があります。歯肉表面と歯の手入れは、患者さん自身による毎日の正しいブラッシングとフロッシング、歯間ブラシそして規則正しい生活習慣が必要です。歯肉の歯周ポケット内の手入れは、歯科医師、歯科衛生士による定期的なスケーリングをふくめた、PMTC(プロフェッショナルメカニカルティースクリーニング)といいますが、専門的な歯面清掃が必要です。