一般社団法人 西宮市歯科医師会

8020達成者は元気?
濱田 幸人
8020達成者は本当に元気
・8020達成者と医療費
・兵庫県歯科医師会と兵庫県国民健康保険団体連合会の調査
・口腔疾患と健康

Q:8020達成者は本当に元気なのでしょうか

A:先週は8020のアウトラインについてお話しました。今日は8020達成者は本当にお元気ななんでしょうか、という点について、考えてみたいと思います。なんでもバリバリ食べるお年寄り、なんでも食べるからお元気当たり前と言う感じがいたしますが、8020を達成した方とそうでない方との健康調査というのはあまりありません。今までの報告ではそのような結果が出ているようですが。
十分な検討はされていないようです。
 11月8日、この日はいい歯の日と語呂合わせで呼んでいるのですが、このいい歯の日にちなみまして、昨年、西宮市歯科医師会では11月10日に、西宮市と教育委員会、阪神南県民局の後援をいただきまして、兵庫県歯科医師会との共催により、西宮北口のアクタで「いい歯の日・健康フェスタ西宮」を開催いいたしました。この中で歯科医師会の会員の先生より8020を達成された方、11名をご推薦いただきまして、9名の方が当日参加していただきましたので、日頃のご努力とご長寿を称えまして、ご紹介し、表彰させていただきました。北口のアクタまでお越しになる方々ですのでいずれの方もかくしゃくとしたお元気な方々でして、お口の健康法はとお伺いしますと、少しおかしいと思ったら直ぐに歯医者に行くと答えられた方もいらっしゃいました。やはり8020達成者の方はお元気だという感想を持ちました。このあたりを具体的に検討できないかと兵庫県歯科医師会と兵庫県国民健康保険団体連合会では、8020と医療費の調査を行っています。


Q:8020と医療費とはどういうことですか

A:それはですね、兵庫県歯科医師会と兵庫県国民健康保険団体連合会では、8020達成者は本当にお元気なのだろうか、具体的に知りたいと、お年寄りの医療費に注目して、一昨年より毎年5月に、歯科の治療を受けられた70歳以上の患者さんのうち8020を達成した人とそうでない人の一般のお医者さんの受診の状況を調べたものなのです。
その結果、平均の医療費は達成者では20902円、非達成者では25240円と達成者の場合約20%安くなっているようですし、お医者さんへの通院日数も達成者の方が若干少なくなっているようです。
 多くの歯が残ったお年寄りの方が健康であると断言できないようですが、残った歯が多い方の方が医療費は安く、特に一人あたりの医療費の高いリハビリテーション科や呼吸器外科などではその傾向が強いようです。


Q:やはり8020はお元気なんですね

A:そのようですね、「兵庫県健康作り県民行動指標」、に「口から始まる健康作り 噛めば噛むほど元気なからだ」、や「にしのみや健康づくり21」に「噛めば噛むほど 元気なからだ」という行動指標を聞かれたことがあると思いますが、やはりお口の健康と体の健康は全く別のものではなく、互いにつながったもの、一つのものと考える必要があるようです。
 お口の状態が体に与える影響についても十分に検討されていないようですが、お口の機能や病気が全身に与える影響について色々言われるようになってまいりました。
 口の中の細菌は虫歯や歯周病を起こすだけでなく、体の中に入って色々な影響を与えているようです。


Q:お年寄りが肺炎になられたと言うことを良く聞きますね

A:そうなんです、寝たきりになられた方々や、ご高齢の方あるいは脳卒中、脳梗塞などの後遺障害などで、ものを飲み込む反射が弱ってきますと、むせると言ったことが起こってきます。誤嚥と言いますが、気管や、肺への唾液等の吸引が起こり、誤嚥性肺炎を起こします。これが命取りと言うことになることもあるようです。
 お口の積極的な清掃により、口腔内の状態をコントロールすることによってこれらの危険性を少なく出来るようです。
 また良く噛むこと、義歯等を使用してでも、噛むことが、脳に与える刺激と言うことで、ぼけの予防に役立つと言われますし、反対にかみ合わせの悪さや歯や歯茎の痛みにより、首のあたりの筋肉の異常緊張が起こって、肩こりや頭痛が起きてくることもあるようです。


Q:歯の調子が悪い人がよく肩が凝っているので、といわれることが ありますね

A:そうですね、また80歳で20本以上残している人の心電図にも異常が少ないと言われています。
 歯周病のような状態、体の中でいつも膿を持って腫れているのにそのままといった身体の場所は他にはあまりありません、当然、血液の中にも細菌は入り込みます。口の中の細菌の起こす因果関係がもっともはっきりしているものが細菌性心内膜炎だといわれています。また動脈硬化症の主な原因は喫煙、遺伝的要因、高脂血症、高血圧症などといわれていますが、肺炎クラミジアと言う細菌による動脈硬化症が報告されるようになりなりまして、慢性の炎症との関係が注目されているようで、ここでも歯周病菌の影響が報告されているようです。歯周病菌は血液の中にある血小板を固める病原性を持っていて、血栓を作る、といわれておりまして、心筋梗塞との関連も報告されています。
また歯周病を治療することで、糖尿病のコントロールが容易になると言う報告もあります。


Q:いろんな病気との関わりがあるのですね

A:病気というわけではないのですが、これからお母さんになられる、妊婦さんは特に歯茎の状態に気をつけていただきたいと思います。歯周病と女性ホルモンの関係は昔から言われています。妊娠性歯周炎と呼ばれていますが、歯茎を腫らせることが多く、口腔内の清掃に十分注意していただきたいと思います。重症の歯周疾患になっていますと、歯周病菌が出す毒素は血液を介して、全身に影響を及ぼし、低体重児の出産を促すことがあると言われています。母子手帳を持って歯茎の点検もおすすめしたいと思います。