一般社団法人 西宮市歯科医師会

顎関節症について
沖田 和久
 今日は、全身にも様々な不調を引き起こす「顎関節症」について、お話させていただきたいと思います。
「口が大きく開けられない」「アゴがコキコキ音がする」「物を噛むとアゴが痛い」、これらの症状は顎関節症の三大症状です。またこの疾患は、顎の異常だけでなく「肩こり」「頭痛」「耳鳴り」など全身にその影響を及ぼすことが少なくありません。原因のひとつに、歯の不良な噛みあわせ(不正咬合)があります。不正咬合の原因は八重歯やラングイ歯のような歯並びの悪さや、義歯があわなくなった場合などさまざまです。また、むし歯をかばって片側だけで噛む癖や、歯を抜いたまま放置した場合に起こることもあります。顎関節症はストレスとも関係が深いことも分かっており、むし歯・歯周病と並ぶ歯科の三大疾患の一つとも言われています。


Q:顎関節症は体にどのような影響があるのでしょうか?


A:上下の歯は何気ない時は、0.5~2.5ミリくらいの隙間があるのが普通で、当っていてはいろいろなトラブルの原因になります。歯がしみる、咬合痛、歯の異常な咬耗、むし歯、歯牙破折、歯の動揺、歯肉の腫れ、咀嚼筋の痛み、顎の関節の痛みや雑音、開口障害、頭痛、首の痛み、肩凝り、耳鳴り、目の痛みなど、さらには全身に影響が出ることもあります。
 しかしながら、噛み合わせについてはまだわかっていないことも多く、どうして噛みしめが起きるのか? また、どう治せばいいのか? など、多くの未解決の問題を抱えているのが現状です。
 食べる時や唾を飲み込む時、また立ち上がる時や重いものを持つ時に噛むのは構いません。問題なのは何気なく噛んでいることで、噛む強さは余り強くありませんが、時間が長く休憩が無いので負荷は大きいのです。逆に、食べる時は噛む瞬間に大きな力がかかりますが、すぐに開口するので意外と咀嚼することはそれほど周囲の組織に負担はかからず、噛みしめの方が大きな負荷がかかり問題になるという研究が報告されています。
 また、ほとんどの人が噛みしめることの悪影響を知らないため、噛みしめていることさえ気づかずに自分自身を悪くしているのです。睡眠中に噛みしめれば、これは歯ぎしりの一種です。そしてさらに横にずらせばギィーと音がして他人の迷惑になります。歯ぎしりは噛む力がもの凄く大きいので、その悪影響は測り知れません。


Q:顎関節症を見つける方法はありませんか?


A:今日ご紹介させていただく、割り箸テストは福井の市波氏が考案、指導されている方法で、顎関節症(市波氏は顎偏位症と言われています)であるかが簡単に分かり、また治療の効果もあります。一度試してみてください。
<割り箸テスト>
 畳あるいは硬めの布団などの上に、大の字になって仰向けに寝てください。首が不安定なら首の下にロール状に巻いたタオルを入れて、首が真っ直ぐになるように支えてください。口をポカンと半開きにして、半分に割った割り箸を口角に乗せてください。
 要は割り箸を横にくわえる様な状態ですが、くわえずに軽く口角に乗せておく。絶対に歯で噛んではいけません。噛み合わせが深くてどうしても楽に乗せておけないなら、割り箸なしでただポカンと開けたままでも良いです。
 そのまま体をリラックスさせて、力の入っていない状態で30分寝ていてください。初め仰向けに寝ることのできない人も多いと思いますが、そういう方はひざを立てた状態から始めて、途中から膝を伸ばしてみてください。きっと最後には仰向けになった状態で寝られるようになると思います。
 30分経ったら終わりです。 口を開けたまま、ゆっくりと起きてみてください。くれぐれもゆっくりと起きてください。急ぐと足がもつれるかもしれません。そして真っ直ぐに立ち、視線を遠くにしてから、顎をゆっくりと閉じてみてください。どこか少し当たったら、それ以上噛まないでください。
 いつもと少し違う所が当たって、他の所が空いていたりするはずです。その時の顎の位置は、いつもより理想に近い位置になっているはずです。そしていつもと位置が違うのが分かったら、しばらくは噛み込まないようにしてください。せっかく良い位置に近いのですから。急に噛み込むと、歯に誘導されていつもの悪い位置に急に戻されるため、少し危険です。噛み込まなくても次第にいつもの位置に戻ってしまいます。
 体の感じがすこし違う様に感じるかもしれません。テストをする前と比べて良くなって肩の凝りや頭痛がとれ、手の痺れが減っている場合があります。人によっては割り箸テスト中にすぐ反応が出ます。手足が暖かくなったり、だるくなったり、痺れたりしてきます。
 顎がぴくぴく動いて割り箸が動いて落ちることもあります。こういった反応は割り箸テストにより体の歪みが取れてくるために起こるとのことです。結果として、体の各所に出ている症状が取れてくれば、やはり顎に問題があると考えることができます。もしも反応があれば、ときどき繰り返すことにより治療効果もあります。

 最近の研究では、精神的あるいは身体的いずれかのストレスが顎関節症の原因となったり、あるいは発症後に症状を持続させる要因になっているのではないかと考えられています。 これらには、悪い姿勢、睡眠障害、悪習癖(歯ぎしり、噛みしめ)、心理・感情的問題、不適切なダイエット等が含まれます。
 顎関節症の予防、改善には日常生活の過ごし方が大きく関わってきます。わが国のような先進国においては、我々は多かれ少なかれ何らかのストレスと直面しながら日々生活しています。
 まず、できるだけ心身共にリラックッスする時間を作りましょう。適度な運動等によって気分転換を図り、食事、睡眠をしっかり取るといったことを心がけてください。

 くわしくはやはりお近くの歯科医院にて診察を受けていただくのがベストです。