一般社団法人 西宮市歯科医師会
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やさしい歯科知識
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(1) 8020運動

(2) 歯の多いお年寄りは活動的
(3) 歯周病の予防と治療 (4) 食べる喜び
(5) 歯の衛生週間 (6) ブラッシング(歯磨き)
(7) キシリトールって何? (8) 口臭について
(9) 顎関節症 (10) いい歯の日とは?
(11) 噛むことと糖尿病の予防 (12) 歯は鋭敏な感覚センサー
(13) 小児の歯について (14) 義歯安定剤の功罪
(15) 20代30代は歯が弱点 (16) 女性ホルモンと歯周病
(17) □の中から健康に (18) インプラント治療について
(19) 笑顔美人とは (20) 歯固めに想う
(21) 頭のよい子は9歳までの食事が決め手 (22) フッ素と虫歯予防
(23) 歯磨き・歯ブラシ・歯磨き剤について (24) 食後3分以内の歯磨きの重要性について
(25) 乳児の指吸引癖について (26) 不正咬合について
(1) 8020運動

 8020運動は、従来の母子中心の虫歯予防を主体とした歯科保健対策から、高齢化社会における歯と健康とのかかわりを見つめ、生涯を通じた口腔の健康づくりのために平成元年に提唱されたものです。20年を超える国民運動となっています。
 この運動は当初「80歳で失う歯を10本以下にすること」が提案されましたが、喪失歯より残存歯を対象とすることになり、80歳で20本の歯を残す「8020運動」の誕生となったものです。ここでいう80歳で20本の意味は、おおむね20本の歯が保たれていれば、大抵の食品を咀嚼(かみくだく)のに差し支えないとされていることによるものです。現在我が国では、80歳以上で8020を達成した方は26.8%おられます。昭和62年当時の7%と比べると大きな進歩です。平均本数も昭和62年の4本から9.8本と増加しています。
 超高齢化社会を迎えて「8020運動」の効果は著しいものがあります。さらに最近の口腔の健康に対する関心度の高さをみると、8020社会の実現もまんざら夢ではなさそうです。
 長い間、疾患に対しては予防活動が重要視されてきました。しかし、近年、予防は当然のこととして、さらに積極的に″健康づくり″に努めようとする、予防志向から健康志向へと大きな変化がみられます。すなわち、80歳になっても自分のことは自分で処理できる健康生活を目標とするものです。そして20歯の確保を目標としながら、高齢者が生涯自分の歯でおいしく食事をし、生き生きした心豊かな生活が送れるようにするための運動で、単に歯を残すことだけを目的にしたものではないわけです。いわば生活の質の改善を目標とした運動ととらえていただきたく思います。
 一度この機会に、ご自分の歯を確かめられ、今後の口腔の健康管理に十分ご注意ください。
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(2) 歯の多いお年寄りは活動的

 自分の歯がたくさん残っているお年寄りほど、生活自立度が高いことが、70歳以上の男女300人に対して行われた調査で証明されています。「主に自分の歯だけで食べられる」という人のほとんどが、「一人でどこへでも出かけられる」と回答しており、「すべての歯がなく義歯なし」の人では、約3分の2のお年寄りが「家から出ない・寝たきり」または「家の近所まで出るだけ」と回答しています。また家族や親類以外につきあっている友人の数は、20本以上自分の歯をもっている人は16人に対して、0本の人は8人で、歯のよいお年寄りほど行動範囲も広く、友人も多いということがわかります。
 歯の老化は全身の老化よりも一歩早くやって来るようです。しかし個人個人の歯の健康に対する関心度の程度に大きく影響され、手入れの善し悪しによって随分その差がついてしまいます。現在日本人の平均寿命は男性79.59歳、女性は86.44歳で女性は25年連続で世界第一位、男性は5位という長寿国となっています。しかし、ひと口に長生きといっても、″健康な長寿″でなければなりません。歯を失うことによる、口の機能の低下はさまぎまな生活環境に悪影響を与え、食事の楽しみを奪うばかりか、張りのあるはつらつとした顔貌を奪い、会話にも影響します。
 特に噛(か)むことは、唾液の分泌促進による食物の消化吸収率の向上、ムシ歯予防、肥満防止、認知症防止、精神安定などに大きく関与し、成人病の予防につながります。成人病はある日突然起こるものではありません。
残念ながら自分の歯が少なくなった方でも、義歯の装着によって噛む機能や顔貌、会話は充分回復します。
どんなことでも歯科医院にご相談ください。口の健康は、若さを保つ秘訣です。
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(3) 歯周病の予防と治療

 歯を失う二大疾患は虫歯と歯周病(歯槽膿漏)で壮年期以降は歯周病で歯を失う人が大多数である。歯周病は歯そのものの疾患ではなく、歯肉(歯茎)、歯根膜、歯槽骨など歯を支える組織の病気で、プラーク(歯垢・細菌の塊)が歯の周りに付いて炎症が起き、歯肉が腫れ、歯を支えている顎の骨がなくなります。そして歯と歯肉の境目にいる細菌の感染が原因で、細菌と体の防御機能のバランスの崩れた時に発病し、歯を支えている組織が破壊され、歯を失うことになります。遺伝性の素因も関与し体を守る機能が遺伝的に弱い人では若年者でも発病します。「若いころ歯は良かったのに」と嘆かれる方が多くありますが、歯周病は虫歯とはちがいます。歯周病の特徴は「沈黙の病気」と呼ばれることです。歯肉から血が出る、食べたものが挟まる、歯がグラつくが痛くない、冷たいものがしみる、そして大したことがないと思っているうちに徐々に進行します。かなり進行しないと気づかないものです。100歳で1本も歯がなくても我々はべつに不思議には思いませんし、歳を取ったら歯はなくなるものというのが日本人の常識になっているようです。しかし決してそうではありません。
 80歳で20本以上自分の歯を保つのは不可能ではありません。治療は患者さん自身の歯ブラシによる歯垢の除去と専門家による定期的な指導と管理です。完全な治癒は難しくても症状を改善して維持させることはできます。そして予防はまず自分の健康は自分で守るという強い意志を持つこと。そして患者さんと歯科医師の共同作業であるということです。
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(4) 食べる喜び

 平成元年から始まった8020運動(80歳まで長生きして20本以上の歯を残して楽しく食事を)を実践され8020を達成された人の生活における共通点は、「子供のころからあまり甘いものを摂取しなかった」 「しっけが厳しかった」 「早期治療に注意した」 「かかりつけの歯科医がいた」…等となっています。しかし、現在は8010が実態で、国民に8020が達成されるのは、2050年ごろと予測されています。しかしこれは今までのやり方での予測で方法を工夫すれば、もっと早く達成するのは間違いありません。そのためには「よく噛(か)んで食ベる」「歯垢清掃」「かかりつけ歯科医の定期検診」が必須条件になり、これにより全身の健康、ひいては「認知症」の防止になります。朝日新聞の「老いじたく考」に”少しでもかみ合わせが悪いとか、どこかが痛むようなときは、何度でも歯科医に治してもらうべきだと思う。
ものが噛めなければ義歯とはいえないのだから、あきらめずに、義歯であっても何でも食べようという気持ちをもつことが大切だ。老いじたくの中に、最後まで自分の歯でものが食べられるように、手入れを忘れないこともぜひ加えておきたい。私はそれに失敗して、何本も自分の歯を失った。だから一層、自分の歯の大事なことが身にしみる″と生活評論家の吉沢久子氏がご自分の体験から歯の大切さを訴えています。皆さんも「口の健康」を見直してください。

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(5) 歯の衛生週間

 現在実施されている歯の衛生週間の目的は「歯の衛生に関する正しい知識を国民に対して普及啓発するとともに、歯科疾患の予防に関する適切な習慣の定着を図り、併せてその早期発見及び早期治療等を徹底することにより、歯の寿命を延ばし、もって国民の健康の保持増進に寄与することを目的とする」となっています。
  この歯科保健対策は昭和3年に6月4日を「ムシ歯予防デー」と定められたのが最初で、その後、昭和33年に「歯の衛生週間」となり、現在に至っています。
 従前の「ムシ歯予防デー」では妊産婦、乳幼児等に対する母子歯科保健活動に主眼がおかれていましたが、昭和58年以降は、成人及び高齢者に対する歯科保健対策が実施されるようになっています。現在でも、子どもさんのムシ歯予防に主眼のおかれた運動と認識される傾向にありますが、今では生涯を通じた歯の健康づくりを進め、8020運動のより実践的な展開を図るため地域に根ざした運動の展開がその大きな目標であるわけです。したがって口腔の健康対策は0歳からスタートし、乳幼児から高齢者まで、生涯を通した口腔衛生について考えていただくための運動といえます。
 西宮市歯科医師会では、6月初旬に西宮歯科総合福祉センタ−(西宮市甲子園洲鳥町3−8 電話41−2031)にて、口腔診査と無料フッ素塗布・歯科保健指導相談・展示等の各種催し物の開催をいたします。
 この機会に口腔の健康について、どんなことでも気軽にご相談においでください。
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(6) ブラッシング(歯磨き)

 大昔、人間には歯を磨く習慣はありませんでした。
 しかしながら、それ程多くむし歯や歯周病(歯槽膿漏)で悩まされることも無かったようです。それは、自然の硬くて繊維質に富んだ食物を良く噛みながらとることによって、歯、歯肉、あごが鍛えられ、ひとりでに予防していたからです。
 ところが文明の発達は、食生活に影響を与え、自然食から調理食、さらに人工食へと変化し、生きるための食から味わうための食へと変わっていったのです。食生活の進歩は、逆に人類の口、特に歯と歯肉に破壊的な影響を与えてきました。そして、江戸時代まで、歯の傷みから逃れるためには、歯を抜いてしまう以外に方法はなかったのです。
 医学の進歩と文化の発達によって、今日では、口腔の健康と正しい食生活が全身の健康にいかに大きく関わっているかが強く認識されるようになり、健康な食生活に直接的に影響する歯の存在とそれをいかに守るべきかを考える必要にせまられています。歯科医学の進歩は目覚ましいものがあります。しかし、治療した歯は永久にもつものではありません。私達が、本当にむし歯や歯周病(歯槽膿漏)から歯をまもるためには、何をすればよいのか、答えは簡単です。最も効果的な方法は日常の毎食後と就寝前の歯磨きの徹底が最も良い結果をうみだします。
 なぜなら、むし歯も歯槽膿漏もともに細菌の感染により発生するものだからです。歯や歯肉に存在する細菌の徹底的な除去は歯磨きによる機械的清掃が最も効果的です。特に就寝前のブラッシングは、重要で、不潔なままで眠ると確実にむし歯や歯周病の原因細菌の繁殖を促します。治療医学から予防医学への転換、ブラッシングはその先鋒といえるでしょう。
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(7) キシリトールって何?

 最近ガムやタブレットなどに甘味料としてキシリトールが使用され多くの製品が販売されています。キシリトールは食品添加物として使用が認可されたもので、フィンランドでは古くから白樺の樹液に含まれる天然甘味料として使用されていました。キシリトールはこのほかイチゴやラズベリーやバナナ等の果実やレタス、タマネギ、ニンジンなどの野菜にも含まれています。キシリトールは糖分であるのに酸を生成しません。酸の生成状態は蕉糖を100とするとキシリトールは0を示します。このため歯のエナメル質を犯さずむし歯の原因にはならないとされています。パラチノースやソルビトールなど、むし歯になりにくいとされている甘味料も長期間摂取し続けると口腔内の細菌が順応して砂糖と同様に酸を生成することが知られています。しかしキシリトールは長期間摂取し続けても、口腔内の細菌は全く順応しないことが多くの研究から実証されています。さらに歯垢と細菌そのものを減少させる働きも持っています。またキシリトールには抗菌作用をもつ唾液の分泌を催す働きもあります。
 このことは子どもの幼弱な歯において、唾液中のカルシウムが取り込まれ歯の硬度を高めます。キシリトールとは別に大豆タンパクの中に多く含まれているグリシンというアミノ酸はミユータンス菌の活動を抑え、増殖阻止作用をもっており、大豆を原料とする食品の摂取は有効です。またエナメル質を強くする働きがあるフッ素はイワシなどの魚類や海藻、牛肉に含まれています。また歯や歯ぐきを保護するものとしてお茶に含まれているタンニンが有効とされています。このように、かしこく食べて上手に歯を磨くことが重要です。
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(8) 口臭について

 口臭とは、不快な臭いのある呼気のことです。
 だれにでも相手に不快感を感じさせない程度の生理的な臭いはありますが、口臭は臭いの性質(揮発性硫黄化合物)が異なり、相手に不快感をあたえます。
 そしてその大半は、口腔内に原因があります。
 すなわち不十分な口腔清掃、放置されているむし歯、歯周病(歯槽膿漏)、不適合となった充填物や、金属冠等の口腔内の悪い環境によることがほとんどです。従って口臭の大半は、歯科治療と歯ブラシによる口腔清掃の徹底により解決します。
 また、意外に知られていない原因に空腹時の口臭があります。何も食べてないから口臭は無いはずと思われがちですが、食事をすることは、歯や舌を機能させ唾液の分泌も促し、噛むことで唾液が口腔内を浄化し、口臭を知らない内に予防してくれています。 規則正しい食事と食後の歯磨きも口臭予防に大変重要です。
 しかし、まれに他の器官(鼻・肺・胃・呼吸器など)の疾患が原因の場合もありますので、口腔内の原因とは考えられない場合は、それらの検査を行う必要も生じます。
 現代社会においては、老若男女を問わず人と人とのコミュニケーションに会話はつきものです。しかし残念ながら、会話時に本人は気づかないまま、他人に口臭による不快感を及ぼしている場合が多々あります。これは全く本人に自覚がない場合が多く始末が悪いものです。お互いに口臭に悩まされることなく、楽しい会話ができれば、本当にすばらしいことだと思います。
 最近の歯科治療では、この口臭の原因と対策についても取り上げられております。口臭でお悩みの方は、一度歯科医院で相談してください。
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(9) 顎関節症

 口が開きにくい、物を噛む時に痛みを感じる、顎の関節付近で音がする。これらの症状はいわゆる顎関節症の3大兆候といわれています。またこれらの症状に付随して頭痛、耳鳴り、めまい、肩凝り等の症状を呈することもあります。このように顎関節症は症状が複雑なことが他の疾患と違う大きな特徴です。
 臨床的には、一般に慢性的な経過と症状の軽減、憎悪を繰り返します。発生年齢は10代から多くなり、20〜30代と40〜50代にピークが見られ、一般に女性の方が多いようです。病因は一つではなく、種々の原因が複雑に関連して症状を引き起こしています。
 病因の代表的なものとして、咬み合わせの異常(不適合な補綴物やむし歯の存在による偏った咬合・偏咀嚼)、ストレスと関与するといわれる歯軋り、くいしばりによるもの、顎関節の構造自体の異常によるもの等があげられます。
 診査としては、全身的な既往歴(リュウマチや他の関節症状の有無)や症状の経過、生活の様子、咀嚼筋方の触診や顎の運動機能や咬み合わせの診査、レントゲン検査、場合により筋電図検査等が行われます。
 治療法としては、保存的療法と外科的療法に分けられます。ほとんどの症例は保存的療法で改善します。 咬み合わせの異常に対しては、咬み合わせの調整、適切な補綴物装着やむし歯の治療、薬物療法、理学療法、スプリント療法等が行われ、精神的なものには精神療法、生活指導等が必要な場合があります。外科的療法としては、注射療法や観血的療法があります。顎関節症の予防は、日ごろからの咬合についての定期的な診査が重要です。気になる症状があれば、歯科医院でご相談ください。
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(10) いい歯の日とは?

 6月の「歯の衛生週間」は広く知られていますが、日本歯科医師会は11月8日も「いい歯の日」として歯科保健対策キャンペーンを展開しています。今年の日刊紙のPR紙面を一部紹介いたします。
 ◎妊娠中の方へ(お腹にいる時から、赤ちゃんのお口のケアは始まっています。「妊娠中、お腹の赤ちゃんにカルシウムをとられお母さんの歯が弱くなる」という風説、聞いたことはありませんか。たしかに、赤ちゃんが必要としているカルシウムは母体から与えられるもの。しかし、栄養状態のよくなった現代では、あまり考えられないことだと言われています。妊娠中にむし歯や歯周病にかかりやすいのは、味覚が変わり甘いものが好きになったり、つわりのためお口のケアがおろそかになったりするのが主な理由です。また、お腹の中にいるとき、遅くても10週目にはすでに乳歯のもととなる「歯胚」が形づくられ、さらに早ければ妊娠4カ月前後には永久歯の歯胚もできはじめます。ですから、お口のケアのほかにも栄養が偏らないような食生活を、いままで以上に心がけることが大切です。赤ちゃんが産まれると、自分の歯が悪くなってもなかなか歯科医院へ足を運ぶ時間がとれません。妊娠の安定期に入ったら一度健診を受け、出産までには治療しておきましょう。赤ちゃんに「いい歯」を与えるために気づかってあげられること、それはお口のケアを含めた、総合的な健康管理にほかなりません。)
 (歯ブラシは自分でできると言う子供ほどむし歯が多いという統計があります。歯磨きを覚えたての小さいお子様は、ブラッシングの方法を十分に身につけていないので、必ずお母さんがきれいに磨きあげてください。)という内容です。
 西宮市歯科医師会では毎年11月8日前後の日曜日に西宮北口のアクタ西宮西館において「いい歯の日・健康フェスタ西宮」を開催し、毎回2000人近い市民の皆様の参加を戴いています。無料歯科健診・相談・無料フッ素塗布・口腔がん検診・講演会・子供の絵画展等多くのイベントを行っています。秋の1日を口腔の健康についてご一緒に考えてみましょう。お気軽にお出でください。

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(11) 噛むことと糖尿病の予防

 近年ライフスタイルの急激な変化に伴い予備群も含めた糖尿病の患者数は世界的に増加傾向にあり、21世紀にはHIVと並んで猛威を奮う可能性が指摘されています。糖尿病は地球規模の健康問題となつている慢性疾患です。
 しかし一方で、糖尿病は予防できるのだという認識が次第に広まってきています。現在の糖尿病の多くは太ってかかる肥満糖尿病です。太らなければかなりの糖尿病を防げますが、「どうやって食べ過ぎないようにするか」は難しいことのようです。脳には「満腹」と「空腹」を感じる中枢があります。そしてブドウ糖などの満腹物質がこの中枢に受容されると「満腹感」を感じ食欲を自動制御する仕組みを持っています。この仕組みを機能させることが重要で、「空腹感」「満腹感」という感覚を育てる習慣をつける必要があります。これは計算して食事量を抑えるのではなく、おなかが充ちてもう十分だという感覚を養うことです。それには昔から言われている「よく噛むことは体に良い」ということです。よく噛むと歯や咬む筋肉の神経が刺激され、脳内で満腹物質が増え、噛めば噛むほど「満腹感」を感じるようになります。さらに、よく噛むと脳から脂肪分解信号が発信され、脂肪を効率よく燃やしてくれます。このようなことから食事をする時には一生懸命噛んでください。できれば一口30回(カミング30運動)噛んで下さい。そうしますと満腹感を十分感じられるようになり「食べ過ぎ=肥満」の関係を断つこともできます。そして良く噛むためには健康な歯が必要です。歯の治療はお早めに。

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(12) 歯は鋭敏な感覚センサー

 歯の機能を科学的に調べると興味深い事がわかります。例えば、オリンピック陸上男子百メートルで金メダリストのカール・ルイス、百メートルの前世界記録保持者のリロイ・バレル両選手らは、ともに器具を使い歯並びを整えていたそうです。歯の微妙な噛み合わせの修正が大きな力を出させ、好記録に結びついたようです。これは咬み合わせのバランスが筋肉の機能を向上させる一助となったものと思われます。一方、上下の歯の間にはさまった髪の毛一本を誰もが異物と感じることができるのは、歯と顎の骨の間にある歯根膜という感覚センサーのおかげと名古屋大学の上田教授は指摘している。そして、モグラやネズミでいえばヒゲに相当する感覚器とも考えられ、歯が無くなると鋭敏な神経からの信号が脳に入らなくなり、認知症の発症にもつながるのではと説明している。さらに、残っている歯の本数と脳の萎縮度の関係に注目し、認知症患者75人と健康な高齢者78人を調べた結果、認知症患者の平均残存歯数は約4本、健康老人約9本と大きな差が認められている。また、合計153人全員の頭部をコンピューター断層撮影で比べると、残存歯数が少ないほど、側脳室という脳内の隙間が広く脳の萎縮が進んでおり認知症患者は健康老人より平均約15%ほど脳が萎縮していることもわかっています。歯の喪失が痴呆の原因か、認知症により歯の喪失が進んだのかについては論議がでますが、多くの動物実験においても、「歯の喪失がアルツハイマーの原因のひとつになっているのではないか」とみられている。いずれにしても、歯の喪失が全身の健康に与える影響は大きいものです。しかし現在歯がなくても、義歯により機能が回復しておればなんら問題はありません。歯の喪失防止は定期検診が最も重要で、これからの超高齢化社会では歯も体にあわせて寿命を延ばすことが健康な老後につながることは間違いありません。

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(13) 小児の歯について

 小児の歯は小児期の口の機能及び口腔・顔面の形態を正しく育成することにあります。すなわち、子供が吸う・咬む・呑む・話すといった機能を正しく獲得し、これらの機能を通して健康な永久歯の歯並びと咬み合わせになるように育てることです。乳歯は生えている間にさまざまな役割を果たし、子供の成長と発達に深くかかわっています。
 例えば、もし急に怪我や虫歯で前歯を失うと話がしにくくなります。これは、発音に歯が利用されているからです。小児の言語発達は5歳ごろまでに完成します。したがって、幼児期に歯が欠けたり、抜けたりすると、発音発達への影響はもちろんのこと、舌や唇に悪い習癖を誘発することがあります。また、乳歯は一般に6歳ごろから10歳ごろにかけて、前歯から小臼歯の順に永久歯に交換します。これらのメカニズムは交換の時期に乳歯の根が溶けて吸収し、その下に準備されている永久歯と自然に交換するようにプログラムされています。このプロセスが乳歯の虫歯や早期喪失により障害されますと、永久歯が正しい位置に生えなかったり、乳歯がいつまでも居座り永久歯が生えにくくなったりします。乳歯はこのように、永久歯のための発育の調節もしています。
 そして歯で噛むということは、咀嚼器官、とくに筋肉や顎骨の発達に大きく関与します。小児の顎や顔の発達は出産後から思春期を過ぎるころまで続いています。したがって乳歯や永久歯による発達刺激が長く不足すれば、顔の発達や歯並びの形成、身体成長にも悪影響をおよぼします。乳歯が機能している小児期は、身体のすべての面で、活発な成長発育が見られる時期です。子供の歯の大切さを改めて認識してください。

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(14) 義歯安定剤の功罪

 義歯を支えている歯茎(歯肉)は、長年にわたる咬むカや老化により萎縮し、少しずつ痩せて低く小さくなってきます。最初ぴったりして良く噛めた義歯もだんだん緩くなり、外れやすくなったり、内側に食べ物が入るようになってきます。この歯茎の変化は個人差がありますが、一般的には義歯を装着し4〜5年ぐらいに多く見られます。
 歯茎の変化を早く知リ、義歯を正しく機能させるためには、1年に一度は定期検診を受けて調整することが必要です。早いうちなら、調整や裏打ちをするだけで、簡単に元のような義歯の安定が得られます。緩んでガタついている義歯をそのまま使用していると、義歯が短期間に歯茎を吸収させ、萎縮も進み、ますます噛めなくなります。
 最近義歯がガタついたり、痛くて噛めないことで、市販の義歯安定剤を使ってしのいでいる人が少なくないようです。義歯安定剤は、義歯と歯茎の間に生じた隙間を埋める材料で、一時的に義歯のガタつきを抑えたり、クッション作用によリ痛みも抑えるようですが、均一に隙間を埋めることが難しく、逆に歯茎を萎縮させたり、義歯が傾いたり、噛み合わせが狂ってしまい顎の関節に悪影響を及ぼすこともあります。
 義歯安定剤は、新義歯が出来るまで、あるいはしばらく通院ができないときなどのあくまで応急処置として用いるべきものでしょう。老化が進むと、歯茎を覆う粘膜も萎縮し、厚みの減少や弾力性の低下、唾液の分泌量や噛む力の低下がひどくなり、義歯にとって不利な条件が多くなります。さらに誤った義歯安定剤の使用はこれらの不利な条件をますます増幅することになります。義歯安定剤を使う前に歯科医院で相談してみて下さい。そして年一回は定期検診を受けて下さい。

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(15) 20代30代は歯が弱点

 以前、読売新聞に「20代30代は歯が弱点」という記事が掲載されていました。戦後、虫歯が最も多かったといわれる世代に当たる20〜30歳代の人の多くが「歯は60歳までもたない」と不安を感じている。歯の衛生週間を前に行われた男女300人へのアンケートで、こんな結果がでたというものです。この年齢層、特に30歳代は高度経済成長期の下で、食生活の変化と菓子等の氾濫、更に歯磨きの教育が徹底していない「虫歯の洪水」といわれた時代に少年期を過ごした人たちです。
 内容は、70%の人に「歯を磨くと出血する、水などがしみる」等の自覚症状がありながら50%の人は「様子をみる、痛むまでそのまま」と放置する人が多いようです。この世代の人々は働き盛り、または育児の最中で、食生活では外食率が高く、歯周病発生に関与する喫煙率も高いようです。したがって食後の歯磨き等の口腔の管理も十分にできていないようです。また子どものころ過半数の人が、「歯磨き指導を受けたことがない」と答えており、歯磨きはしていても徹底していないのではないかと思われます。そして「自分の歯は何歳くらいまで丈夫?と尋ねると、答えは平均で「57歳」で、「80歳になつたとき20本残っている自信があるかどうか」では74%の人が「ない」と答えています。そして、この世代の口腔ケアのよしあしが8020運動達成のカギになると警鐘しています。日本歯磨工業会の調査でも、朝・夕食の前後や就寝前に歯磨きしている人は90%以上いるのに対し、昼食後はわずか19%で、それも大半が40歳代の女性であったと発表しています。お昼の歯磨き習慣を是非つけて下さい。

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(16) 女性ホルモンと歯周病

 女性は平均的に男性より長寿です。しかし、歯の平均寿命は男性55.1年に対し、女性53.2年と女性の方が短いのが現実です。なぜ女性の歯は男性よりも短命なのでしょうか。それは、どうやら女性特有の生理と関係がありそうです。女性ホルモンが歯周組織に影響を与えがちなところに原因があるようです。
 40歳代後半になると、女性は肩凝り・冷え性・腰痛・頭痛など、さまざまな更年期の障害に悩まされることがあります。これらの多くは女性ホルモンの変化と関連しています。口の中も同様で、閉経後は性ホルモンの分泌の衰えとともに、歯肉の細胞の活性も衰えてきます。皮膚が齢と共にハリを失い荒れていくのと同じ状況が、歯肉にも起こり、それだけ抵抗力が低下し、細菌が増殖しやすくなって歯周病にかかりやすくなります。中年からは骨租しょう症にもなりやすいといわれますが、これは骨がスカスカになり脆くなる病気です。歯周病は、歯を支えている組織、歯槽骨などが破壊される病気です。骨が脆くなって、吸収しやすくなっているところへ、歯周病菌が繁殖するなど歯周病への条件が重なると、歯周病にかかる危険率は非常に高くなります。
 また、閉経の前後から、だ液の分泌が悪くなります。だ液の分泌が少ないと歯肉が傷つきやすく、歯肉炎を引き起こしやすくなります。自浄作用や抵抗力が低下し口腔内の環境が悪くなって、歯周病になりやすくなります。さらに、成人病などで薬を常用している場合は、その薬に、だ液分泌抑制作用をもつものもあります。
 中年以降の女性は特に歯周病にかかりやすいリスクを多くかかえていますので、歯科医院での定期的な管理が必要です。

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(17) □の中から健康に

 東京歯科大学の奥田教授は「歯周病は細菌感染症で、歯垢(歯に沈着した汚れ)1mg(爪楊枝の先ほどの量)の中に住んでいる細菌の数は10億にのぼります。だから、口の中をきれいにしない人は何千億、ひどい場合は1兆の菌がロの中に住みついています。そして歯周病があると、その細菌と戦うために、白血球が一分間に100万個も出てきますが、細菌の数はその1万、10万、1000万倍もいるので、なかなか立ち向かえないわけです。したがってこの細菌を少なくするのが治療の第一条件になります」と報告しております。
 東京医科歯科大の石川教授は口の中の嫌気性菌(空気を嫌う菌)が全身に様々な影響をあたえていることを指摘し、歯周病があると、感染性の心内膜炎になりやすい(歯周病で、細菌の多い人には、そうでない人に比べて4倍以上心臓疾患が起こりやすいというデータがある)こと。アメリカでは未熟児を産まないために、歯周病の治療が勧められていること。糖尿病や骨租しょう症と関係があること等を指摘しています。その他肺炎について、特に老人性の肺炎の多くは、口の中が不潔な時に知らないうちに誤嚥し、細菌が肺に入り発症することが指摘されました。このことは介護保険においても要介護者の口腔の管理がいかに重要かを示すもので、食べる楽しみへの支援とともに全身への感染症防止の「要」として口腔の清潔の必要性があらためて強調されています。阪神淡路大震災やこの度の東日本大震災でも震災関連死に誤嚥性肺炎が関わっていることが指摘されています。健康長寿の「要」としても口腔を見直しましょう。

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(18) インプラント治療について

 インプラント治療は歯を喪失した顎に従来の義歯のかわりにチタンという金属を歯の根の形にして顎の中に埋め込み、その上にかぶせやブリッジを装着し、あるいは義歯をのせる治療法でもともとあった天然の歯と同様に噛めるようにする治療です。近年多くの研究者によりその安全性や確実性が確認され、義歯に代わる治療法として認められるようになってきました。現在のインプラント治療の中心は骨内インプラント(インプラントの本体が顎の骨の中にあり、その一部が口の中に出ているもの)の一つである骨結合型インプラントです。このタイプのインプラントの素材はチタンで、歯根の形をした円筒形のインプラント本体にネジが切られており、植立法は歯肉を開き、顎の骨に穴を開け、そこにインプラントを植え込み、歯肉を縫い合わせ、インプラントと顎骨が結合するのを待ち、その上にかぶせやブリッジを装着するものです。インプラントの種類は現在世界中で120種以上、日本でも約50種類が市販されています。インプラント治療の利点、欠点については症例により大きく異なる場合がありますので歯科医院でご相談ください。

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(19) 笑顔美人とは

 日本歯科医師会発行の「歯っぴいスマイル」に、「すてきな笑顔で私たちを魅了する″笑顔美人″の秘密はやはり歯にあった」というコラムがあります。顔のパーツやディティールはそれほどでもないのにとても魅力的な女性というのが、まわりには必ずおられます。″笑顔美人”の方です。私たちが実際に笑顔のどの部分に魅力を感じているのかを調査したデータによりますと、一位が「目」、次いで「口元」、「歯並び」「歯の色」、「歯茎の色」と一位こそ「目」に譲っていますが「口元」、特に「歯」に関する答えが圧倒的に多数を占めています。
 ″笑顔美人″の条件には、「美しく健康的な歯」の存在が欠かせないものなのです。芸能人をみても美人はみな歯並びもよく、白く健康的な歯をもっています。そして、これらの人達は、いわゆる造形学的な美人ではなく、笑顔、特に「健康的な歯」が魅力を増幅しています。″笑顔美人″への近道はありません、鏡でご自分の″笑顔”をよく見て、「口元」、特に「歯」に注意してください。そして日ごろから、大切に扱っていただきたいものです。日本歯科医師会では、11月8日の「いい歯の日」に各界の有名人・著名人の中から、笑顔がすてきである男女をベスト・スマイル・オブ・ザ・イヤー賞として、全国の歯科医約7万人が選んでいます。昨年は松下奈緒さんと俳優の佐々木蔵之助さんが選ばれました。いずれも笑顔の美しい健康感あふれる方ばかりです。「明眸皓歯」のことわざどおり、昔も今も、美人、美男の条件は同じのようです。
 笑顔美人希望の方は、歯科医院でご相談ください。

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(20) 歯固めに想う

 テレビで穏やかな全国の正月風景を見ていますと、福岡県の鰯町の「歯固め」が紹介されていました。正月に「いわしの丸干し」と「大板の拍子切り」を、「歯固め」として食べると、その一年健康で過ごすことができるといわれるもので、健康はまず歯からという考え方です。また、読売新聞にも、昔の正月の行事の一つに、「歯固め」があり、源氏物語にも出ており、鏡餅やダイコン、ウリ等を食べて長寿延命を願っていると記載されています。また、今でも地方によっては、鏡開きを歯固めと呼び、固い餅をかみ切ることのできる丈夫な歯こそ、長生きの秘訣と考えていると紹介しています。
 歯は健康の番人ということです。歯の2大疾患は歯周病と虫歯で、中でも歯周病は様々な全身の病気に影響を及ぼします。重症の歯周病が心臓血管疾患や、低体重児出産の原因になりえるということはよく知られています。
 歯周病の原因はプラーク(歯周病菌の巣)です。これらの細菌と全身疾患との関係は、口腔内の細菌が他の臓器に感染していく歯性感染症で、実際に脳、肝臓の患部から口腔細菌が見つかることもあります。また、老人の肺炎を引き起こす呼吸器性病原菌が、歯周病患者のプラークから検出されることや、胃の疾患の病原菌が口腔内から検出されている例もあり、プラークがこれら菌の貯蔵庫とも考えられます。
 このように歯周病は全身の健康に大きな影響力を持っています。食生活の不摂生や不潔な口腔内、喫煙など好ましくない生活習慣の変革が必要です。
 今年は、口の健康を取り戻してください。

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(21) 頭のよい子は9歳までの食事が決め手?

 日本歯科医師会発行のデンタルマガジン「朝・昼・晩」の「脳と歯のハナシ」というコラムに、人間の脳の大脳皮質の神経細胞の数は生まれつき約140億個あり、20歳を過ぎると減って行くが、バランスの良い刺激さえ与えれば、年齢を重ねても減るのを止めることができる。また、脳の神経細胞にくっつき新陳代謝を繰り返して神経細胞を守り、助手役をするグリア細胞は妊娠後期から成長を始め、ほぼ9歳ごろまでに大人と同じ数になり、全体の脳の重さは、約千グラムとなる。とあリます。
 このことは人間の脳の成長にとって最も重要な栄養素であるたんぱく質を、妊娠中を含めて9歳ごろまでの食生活でいかに十分な量を摂取するかが、神経細胞の成長の鍵を握っていることを示しています。たんぱく質不足の母親から生まれた子供は、十分たんぱく質をとった母親から生まれた子供より脳の重量が軽く、異常行動も見られます。これは妊娠中に子供の脳の神経細胞が十分に発達しなかったことを意味しています。このことからたんぱく質という物質が、どれだけ人間の脳の成長に欠かせないものかが理解できます。9歳ごろの歯の状態は、乳歯と永久歯の混在している時期です。従ってそれ以前の主として乳歯がそしゃくの中心であった時期に必要なたんぱく質を消化よく取り込むため、健康な乳歯で良く噛めていたかどうかがポイントとなります。いずれにしても、母子ともに丈夫で健康な歯を持っていることが基本です。いくら食品が豊富にある現代でも、しっかりとモノを噛める歯がなければ、その恩恵を受けることができません。妊娠期の栄養補給と小児期の健康な乳歯の存在が脳の発育に影響することをご理解ください。

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(22) フッ素と虫歯予防

 フッ素を使った虫歯予防が広まりつつあります。最近では歯磨き剤の殆どにフッ素が含有されています。欧米諸国ではそのシェアは、95%以上といわれています。しかし、フッ素の働きやその有効性については一般的にはあまり知られていないようです。
 読売新開の記事に、香川県の町立仁尾小学校では96年からフッ素溶液を使って″フッ素洗口”を始めたところ、それまでの5年間、6年生の平均虫歯数は、2.8〜3.2本あったのが、わずか1年後の97年には2.0本に、97年には1.2本に減少し、これらの活動に対し、文部大臣賞を受賞したことが紹介されていました。
 方法は、週1回、昼食後に濃度0.2%のフッ素溶液10mlを口に含み、30秒から1分間、グチュグチュと溶液で口をゆすぐだけのものです。フッ素の作用は歯の表面に吸着し、歯を酸に強いものに変える働きと、溶け出したカルシウムやリンが、再び歯に吸着する再石灰化を促す作用をもっています。フッ素の効果が注目されたのは、1930年代に米国コロラド州のスプリングスの住民にほとんど虫歯がないことに気づいた歯科医師が、その州の住民がフッ素濃度の高い水を飲んでいることに気づき、その後、米国立衛生研究所が虫歯予防に効果的なフッ素濃度を発見しました。45年にはミシガン州グランドラピッツ市で上水道のフッ素化が行われ、現在では世界38ヵ国で上水道にフッ素添加が行われています。
 日本でも水道水へのフッ化物添加は認められていますが、その実施については地方自治体の判断にゆだねられています。フッ素洗口は簡単に実施できるので幼稚園や小・中学校で実施するところが増えてきたようです。

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(23) 歯磨き・歯ブラシ・歯磨き剤について

 歯磨きの目的は、歯の表面と歯肉との境界部分の汚れ(歯垢・プラーク)を奇麗に清掃することです。いろいろな方法がありますが、個人にあった方法を会得してください。
 結果として奇麗に清掃されていることが必要です。時間については器用な方は短時間でも清掃効果があがりますが、そうでない方の場合は時間をかけて磨いて下さい。結果が同じであればいいと思います。
 歯ブラシの大きさやブラシ部分の長さや硬さ等も考慮されるべきものですが、それよりも、自分にとって使いやすいもので効果があがればいいのです。
 歯は身体の中で最も硬い組織ですので、清掃効果をあげるには、普通か、やや硬い腰のある歯ブラシが必要です。一方、歯肉は柔らかい粘膜で覆われていますので、普通かやや柔らかめの歯ブラシが適当でしょう。理想的には、2種類の歯ブラシを使い分ければいいのですが、なかなか面倒で困難を伴います。
 その相反する両者の接触する場所が最も大切なところで、そこを同じ1本の歯ブラシで清掃管理するのですから、難しいわけです。 更に、歯並びが不規則であったり、加齢による変化で、歯と歯の隙間の大きい方の場合は、歯ブラシだけでは効果があがりません。そこで、フロス(糸状の清掃道具)や、歯間ブラシを補助的に使用し、歯と歯の間の汚れを徹底的に清掃します。
 また、ブラシの清掃効果をあげるために、薬用の歯磨き材を少量使用してください。
 銘柄は、薬用とうたわれておればどれも差はありません。
 歯肉炎で、歯肉から出血しやすい方が、いきなり歯肉のマッサージをしても、出血するだけでよけい歯肉を傷めます。指の腹によるマッサージをお勧めします。
 まず、歯の表面(咬む面・内面外面・歯と歯の間)の歯肉炎や、虫歯の原因であるプラークを根気よく取り除きます。やがて歯肉炎の症状が消失してきますので、その頃から歯肉マッサージを行います。そして健康な引き締まった歯肉を維持させます。「毎食後3回3分以内に3分間歯を磨きましょう」といわれていますが、これはあくまで標語であって、歯周病を治すためには、3・3・3運動では不十分です。一日にできるだけ多く、また、長く清掃管理を必要とします。頻繁に洗口すればさらに効果的です。
 就寝前の歯磨きが最も重要なことは言うまでもありません。

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(24) 食後3分以内の歯磨きの重要性について

 食後の口の中の糖分は、細菌の作用で分解され、数分の間に歯を溶かせるぐらいの酸性に変化し、約20分持続します。
 たとえば毎食後、酸性雨にさらされているようなものです。食後できるだけ早く歯を磨く必要は、このような意味からです。
 口の中は、その気になれば見ることができるので、管理は比較的容易です。
 歯磨きのあと、ご自分の目で奥歯の清掃ができているか、歯肉が引き締まっているか、出血していないか確かめてください。
 そして、定期的に歯科医院でチェックを受けてください。

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(25) 乳児の指吸引癖について

 子供の癖の中で、口に関連した癖はたくさんあります。指しゃぶり、指吸い、爪噛み、唇噛みなど、赤ちゃんから3歳ごろまでの指しゃぶり等の癖は生理的な範囲のもので、特に心配はいりません。
 しかし、5歳以上になっても癖が続く場合は、永久歯の萌出(歯の生える)方向や、上顎の骨の前方への突出に影響しますので、欲求不満等が原因かどうかを観察し、上手にやめさせてください。
 指にタコができるぐらいに吸引している場合は、歯や顎の発育に、当然影響を及ぼしていると考えてください。

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(26) 不正咬合について

 一口に不正咬合といっても、いろいろな状態があります。
 歯と歯の間に隙間がある場合・隣り合った歯同士が互いに重なり、歯並びが凸凹になっている場合・犬歯が八重歯になり突出している場合・上顎の前歯が突出し、下顎の前歯との間に隙間のある場合(出っ歯)・下顎が上顎より突き出して、前歯の咬み合わせが逆になっている場合(反対咬合)・上顎と下顎の前歯が、奥歯は咬んでいるのに、咬み合わず開いている場合、一本一本の歯が著しく傾いたり、ねじれている場合等、多くのケースがあります。
 学校健診で、不正咬合を指摘された場合は、この中のどれかに属していると思われます。
 不正咬合は、上下顎の咬み合わせの不調和を生じるだけではありません。咬むことによる歯の面の清掃作業が妨げられることで、食べかすが停滞したり、歯がよく磨けないために、むし歯や歯周炎、歯周病の原因になります。
 また、歯並びの悪さが審美的な障害になり、精神的な負担となってきます。そして、不正咬合のまま食事を続けていると、顎の関節にもいろいろな症状を呈してくることがあります。 矯正治療が必要なケースかどうか、歯科医院で相談してください。

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