一般社団法人 西宮市歯科医師会
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全身麻酔で手術を受ける方へ
入院前の口腔のチェックが大切です
・全身麻酔でがん手術を受ける方
・ICU入室が予定されている方
術後の肺炎
 入院手術後に、肺炎などの合併症が起こる場合があります。
 これらのトラブルを防ぐには『呼吸の入り口』である口腔を手術前からキレイにすることが大切です。
 手術後の合併症を予防するために入院前に口腔管理を受けましょう。
抗がん剤・頭頸部放射線治療の副作用
 抗がん剤治療や頭頸部の放射線治療は、口内炎、歯肉の腫れや味覚障害などの副作用を起こすことがあります。
 予防的な口腔管理で、その症状を軽くすることができます。
●手術の開始の際に

 まず行われるのは、気管への挿管(気道の確保)です。口を開いて、喉頭鏡(こうとうきょう)という器具を用いて、チューブを気管に入れて、固定します。

 器具が前歯に当たると、その当たり方や、程度により、 歯が欠けたり、折れたり、抜けたりする場合があります。

 特に上アゴの前歯は、その確率が高くなりますから、 術前に、歯科で点検を受けるようにしてください。

術後の肺炎
●ICUでの人工呼吸器関連肺炎

 人工呼吸器を付けると、気管のチューブと、気管の間から、口やのどの細菌を含む唾液が肺に入り、肺炎を引き起こすことがあります。(下図参照)

 術前より口腔内(口やのど)の細菌を減らしておくことで、発症を軽減させることができます。
このカフ(風船)と気管のすきまから、
口やのどの細菌が肺に入ると起こる

岸本裕充:よくわかる!口腔ケア メヂカルフレンド社P108-111 2007年
●頭頸部や消化器、呼吸器の侵襲の大きな手術

 口は、呼吸器と消化器の『入り口』です。そのため、侵襲の大きな消化器手術や、呼吸器の手術時に口が汚れていて、口のなかの細菌数が増えると、手術部位の治癒が遅れるばかりでなく、手術後に肺炎を発症する危険性があります。

 不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)といって、睡眠時などに、ムセたり咳き込んだりすることなく、ご本人がわからないうちに、唾液など、食道に流れるべきものが、気管の方へ流れ落ちることがあります。
 左段の説明にもありますように、口の中は汚れがひどくなってくると、唾液中に混ざる細菌、とくに肺炎菌の数も多くなります。
 このことが誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の主な原因とされています。

 この肺炎は、呼吸機能の低下した方、咳反射の低下した方、特に術後の方や、高齢の方に多い肺炎です。

術前から、口腔管理を受ける事によって口の中の細菌を減らしておくこと、
口のなかをキレイにしておくことが大切です。

口腔管理の流れ
入院前の口腔管理(ケア+歯科治療)
かかりつけ歯科医院・連携登録歯科医院に『入院前の口腔管理』を予約、受診。
口腔のチェック(レントゲン検査も含む)
歯石の付着があれば除去
ブラッシングの指導を受ける
応急的な治療、義歯の調整、手術用の対応が必要な場合もあります。
入院中のセルフケア
少なくとも1日1回は、ご自身でほぼ完璧に清掃できることを目標としてください。
医師の指示があれば、うがい薬で適度にうがいをしましょう。
退院後の口腔管理
●口腔の状態の回復と定期的な歯科受診をしましょう。
≪ 医 科 と 歯 科 の 連 携 ≫
医科 協力 歯科

 病院医療者と地域歯科が協力することで、手術時の合併症や、口腔に関連した副作用の症状を軽くし、手術や治療に専念できます。
 治療後もかかりつけ歯科医院、連携登録歯科医院、連携の歯科口腔外科で安心して診ていただいてください。

がん治療に伴う口腔合併症

 がん治療は、近年目ざましく進歩しています。しかしながら、どの抗がん剤を使用しても副作用は避けられず、40%の方に口腔のトラブルが起こり、口内炎が強くなることにより、がん治療が延期されたり、薬の量が変更される場合があります。

 口腔のトラブルを起こしやすい薬は、種類が決まっていますが、どの抗がん剤治療を受けても、その量に依存して口内炎等は起こります。また、抗がん剤はがん細胞を攻撃しますが、正常な細胞にも影響を及ぼすため、体の中で細菌と闘う白血球が少なくなってきます。すると、『免疫の力』が弱くなり、歯肉が腫れたり、口内炎ができたり、その部分から細菌が血液に入り、熱が出たりします。
 これらの口腔のトラブルは、予防的な口腔管理をすることで、その症状を軽くすることができますので、術前より口腔管理を受けることをおすすめします。
 また、外来での抗がん剤治療や、現在抗がん剤を服用中の方にも定期的な口腔管理をうけることをおすすめします。
どのような口腔のトラブルですか?
 口内炎や歯肉が痛む、口腔が乾燥する、味覚が変わる、舌がヒリヒリする、口をあけにくい、ムシ歯や歯周病が急に悪くなる、などで重度の場合は口内炎が多発したり、だ液を飲むこともつらい、食べられない、といったトラブルになることもあります。
口腔内細菌で病気になりますか?
 口腔内は、食べなくても細菌が増えてきます。歯みがきをしないと、口腔内では細菌でいっぱいになります。
 口腔内には500種類以上の細菌がおり、最も密度が高いのが歯垢で、1グラム中約1,000億、だ液1ミリリットル中には、歯垢の多い場合、約10億個にものぼります。

 歯周病の原因となる歯周ポケットの内側にある潰瘍は、例えば5ミリ以上の歯周ポケットのある歯が20本あれば、手のひらの大きさ、約72平方センチになります。

 種々の細菌が出す毒素は、その潰瘍から血液中に流れ込みますので、全身に影響を与えるおそれがあり、普段から細菌の数をなるべく少なくするという意識で、歯周病に対するケアを受けましょう。


 健康なときは、口腔内の細菌が体に影響を与えることは少ないですが、体に強いダメージを伴う手術や治療をした場合は、色々な合併症が発生します。
これから手術入院したり、化学療法で治療を始める方は、
治療前に口腔内を清潔にしておくことが大切です。
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